富士忍野トレッキング

優しく、ときには厳しく、まるで自分たちの子供のように育てる。
 登山家であり随筆家でもあった深田久弥は、豊富な登山経験から、百の名山を選び「日本百名山」と銘打って発表した。
選択基準は「品格」「歴史」「個性」を兼ね備えていること。もちろん、その代表は富士山といって間違いない。  
その百名山をすべて踏破した、と田島様はおっしゃる。
「二十歳のときに始めて山登りをしました。尾瀬でしたから、ハイキング感覚で登れたのですが、登れたときの達成感が素晴らしく、それがやみつきになってしまったのでしょうね。」  

「ポイントバケーション勝浦で」知った趣味の、夫婦の新しい時間の流れ それにしても、お話をうかがっているときの田島様は、何時間もかけて急峻な山道を行くなど想像できないくらい、たおやかで繊細なイメージの女性である。どこにそんなスタミナが隠れているのだろうか 。
「趣味で登っているんですから、いつもマイペースで歩いています。決して無理はしない。それで長続きするんでしょうね。でも、登山していると、刻々と変化 してゆく風景や道辺で出会う草木、花・・・・自然の様々な姿を楽しみたい、という気持ちが一番のエネルギーになっている気がします。」と田島様。  
同じ風景でも、朝と昼ではまるで違う。今日と明日でも違う。四季ごとに別の表情を見せてくれる。その醍醐味。
そして平地ではお目にかかれない草花を見つけたときの小さな喜び・・・確かにそんな感動が積み重なって、登山の魅力につながっていくのだろう。

ペットOKのお店が増えている山中湖。だから、ポイントバケーションをレオと一緒に利用しています。
「ポイントバケーション勝浦で」知った趣味の、夫婦の新しい時間の流れ

田島様の富士登山に同行したのは、梅雨入りが間近に迫った季節の、薄曇りの日。富士吉田の浅間神社で、神前に掌を合わせることから始まった。いつもはご主人様とともに登るとおっしゃる田島様だがあいにくこの日はお一人。登山の無事を祈る表情も真剣である。

「主人は、山歩きはそんなに好きじゃありませんでした。私に付き合ってくれている内に、いつの間にか好きになっていたみたいです。今は登山も夫唱婦随ですね。」
 山梨県側にある二つの富士登山口の一つが、吉田口。浅間神社の裏手にあるそのスタートラインへ、田島様は颯爽と歩き始めた。


ひとも愛犬も自由になれる空間が、山中湖にはある。都会では味わえない自然との一体感を満喫しています。

登山道に入ると、細かい山道の両側に鬱蒼とした森林が続いている。雨にぬれたように、緑が輝いていた。最初は平坦な道も、進むにつれて勾配が増していく。
田島様は水を得た魚のように、ぴんと背筋を伸ばし、若々しい歩みを続ける。
「特別なトレーニングはしていませんが、不安はほとんどありません。以前は迷ったりして怖い目にあったこともありましたが、色々な経験をつんで、自然と安全な山歩きを覚えてしまったみたい。無理をしないこと、それがなによりも肝心です。」

「ポイントバケーション勝浦で」知った趣味の、夫婦の新しい時間の流れ  楽しげに歩みを進める田島様が突然足を止め、道辺の植物に慈しむように手をかざす。
「これがキイチゴ。可愛い実でしょ。今はあまり見られないけれど、以前はちょっと山里に入ればどこでもあったんですよ。」
 目を細め、最上の笑顔で話してくださる。これがフジザクラ、あれがヒトリシズカ、花穂が二本だとフタリシズカ・・・と次々と野辺の草花を教えてくださった。その間も、笑顔ともども歩調に一部の乱れもない。
日本の百名山踏破の実力が垣間見えてくる。

旅という非日常でありながら、ゆったりと我が家のように過ごせる。
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約四時間強で五合目に到着。一面の霧に覆われ気温もだいぶ下がってきた。 標高2,230メートル、登山家たちの宿泊所として知られる佐藤小屋。ここから上は日蓮修業の場だった経ガ岳を経て、岩場、ガレ場が少しずつ目立ち始める。
今日はここで折り返すことになっている。頂上まで登った経験を持つ田島様は、ちょっと残念そう。
「ポイントバケーションは私にとって登山基地。一泊してゆっくり滋養を蓄えてから登り、登山の後にもう一泊して、疲れを洗い流してから帰宅する。登山をし ていると、利用価値がとても高いのがポイントバケーションのスタッフの笑顔を見るとほっとするんですよ。我が家に帰ってきたみたいに。」
 少々雨が降っていても、我慢しきれずに山を目指してしまうという田島様。山をこよなく愛する表情は、健康的で若々しく輝いている。

旅という非日常でありながら、ゆったりと我が家のように過ごせる。
「ポイントバケーション勝浦で」知った趣味の、夫婦の新しい時間の流れ

田島様がポイントバケーションと出会ったのは、インターネットでセカンドハウスを探していたとき。ホテルのように制約が多くなく、かといって突き放されず、そのバランスが絶妙だとおっしゃる。
「山に登るのと同じように、マイペースでいられるのが一番有難いですね。過度のサービスをされると疲れちゃうし、何もしてくれないと帰りたくなる。ポイントバケーションのバランスがとてもよくとれていると思うんです。」

 また、富士忍野にしろ箱根にしろ、ご自宅からそれほど離れていないのでお子様に頼らずに来られるのも利点だとか。
 田島様は、ポイントバケーション主催のワンダーフォーゲルのイベントにも積極的に参加されていらして、富士忍野をはじめ志賀高原や軽井沢などで仲間とともに楽しい登山を繰り返してこられた。
「年末には山仲間が集まって、ポイントバケーションで忘年会をしました。もちろん登山もして。楽しかったですよ。暮れの行事にしたいくらい。」
 ポイントバケーションは第二の我が家。そんな思いが、田島様の笑顔に隠れていた。